示量性 示強性 わかりやすく

| バカなのだろうか? 「屋内で100本以上の未使用スプレー缶のガス抜きをして給湯器点火」 », 少し前のYouTubeを見ていたら、武田邦彦が「この人は二度とテレビに出してはいけない!」と、ある女性評論家の発言を、小学生レベルの恥ずかしい間違いであると徹底的にバカにしていたが、視聴者のコメントを見ると、この評論家は勝間和代のことらしい。 その発言とは、原発事故の問題について勝間氏が「自然から受ける放射線量が1.5mシーベルトなのに、原発から1mシーベルト受けると言ったって、自然より少ないのに、それがどんな影響があるのですか?」と言ったとのこと。これを武田氏が、「恥ずかしくて、もう、講演会とかテレビに出ないでほしいんですね」と言ってバカにしているのである。 武田氏の説明によると、ものには足せるものと足せないものがあり、足せない物は示強性変数といい、足せるものは示量性変数という。これは物事の基本であり、例えば、温度は足せない。25度の水500mlと25度の水500mlを混ぜても50度の水にはならないが(示強性変数)、量は足せるので1lになる(示量性変数)。 電気でいうと、お母さんの部屋に100Wの電球が点いていて、子どもが自分の部屋に60Wの電球を点けたまま出かけようとしたので、お母さんが、無駄だから60Wを消しなさいと言ったところ、子どもは、もう100Wが点いているのだから、60W点けても同じではないかと言った。お母さんは電力は足すもの(示量性変数)であり、100W+60Wで160Wになるとわかっているのだが、子どもは足すものでない(示強性変数)と思っていてるので100Wで済むと思っている。 放射線量の単位の一つであるシーベルトであるが、これは足せる示量性変数である。それなのに世間では足さない人がいて、勝間氏は、自然から受ける放射線量が1.5mシーベルトあるので、原発からの1mシーベルトは足さないでいいと思っているのあり、小学生レベルの恥ずかしい間違いである。 以上が武田氏の説明であり、示強性変数と示量性変数の区別がつかない勝間氏を、徹底的にバカにしているのである。 しかし、これは武田氏が、勝間氏の言葉の意味を、間違って取ったのである。 勝間氏は放射線の専門家ではなくても、示量性変数、示強性変数という言葉を(仮に)知らなくても、シーベルトが足せる量であることはわかっていて、「自然から受ける放射線量が1.5mシーベルトなのに、それより小さい、たった1mシーベルトぐらい増えて2.5mシーベルトになったからといって、それがどんな影響があるのですか?」と言ったのである。勝間氏は、自然から受ける放射線量1.5mシーベルトを非常に小さいと評価し、これを基準に判断しているので、「増加分の1mシーベルト」も小さいのだから問題ないのではないか?と思ったのである。 それに対して、武田氏は、人間が被曝する限界を、例えば4mシーベルトとすると、自然から1.5mシーベルト、原発から1mシーベルト、医療から1mシーベルト、その他から0.5mシーベルトまでは許容量と捉えているので、「どの被曝量も影響がある(足すべき数値である)」が、限界を超えなければ問題ないとしているのである。そういう頭の働きをしているので、勝間氏の「原発からの1mシーベルトがどんな影響があるのですか?」を、「足す必要がないのでは?既に自然から1.5mシーベルト受けているのだから」と理解していると思ったのである。 勝間氏の「増えた(足した)としても微量では?」いう意味を、武田氏は「足す必要がないのでは?」と言っているだと解釈したのである。それで、「足す必要がない」=「示量性変数」であることがわかってない=「小学生レベル」と糾弾したのである。 しかし、それは「影響」などという一般的な言葉を、武田氏の頭の中では「影響される=変化が生じる=足される=示量性」と科学的、専門的に硬直して捉えているために、自身では「影響がある」を「足すべき数値である」の意味に限定して使用しているだけであり、他の人が同様に使用しているとは限らないという「言葉の常識」に欠けているので、勝間氏の「影響がない」を「足すべき数値でない」と受け取ってしまったのである。(「言葉というものは、他の人が同様に使用しているとは限らない」というのは、「味が濃い」を、「味覚」ととるか「塩分量」ととるか――旦那さんが奥さんに「味噌汁が辛い。味の濃いものは健康に悪い」と言ったところ、お湯で薄められて、「これなら大丈夫でしょう?」と言われた、というようなことが起こるということ) しかし、勝間氏の頭の中では「影響される=実質的に変化が生じる」「影響されない=実質的に以前と変わらない」という「常識的な日本語」の意味で捉えているので、「影響があるのか?=何か大きな変化(問題)が生じるのか?」という意味なのであり、「足すべきか、足さざるべきか」「示強性か示量性か」などという議論をしているつもりはないのである。 しかしながら、武田氏は、「自然から受けるのが1.5mシーベルトであり、それよりも少ない1mシーベルトに何の問題があるか」という素人の疑問は間違いであると言いたいのではないのか?「自然から受ける1.5mシーベルトは既に安全の限界に近く、それ以上増えると危険である」と言いたいのではないのか?だから、1mシーベルトの増加は、影響が大きいということを言いたいのではないのか?そうならば、それは「1mシーベルトの増加」についての「放射線量と健康の問題」の話であり、「示強性変数と示量性変数の違い」の話ではない。素人は、「放射線量増加の危険性を理解していない」ので「1mシーベルトの増加」を問題としないのであり、「示強性変数と示量性変数の違いを理解していない」ので、「1mシーベルトの増加」は影響を及ぼさないと理解しているのではない。 何かの基準が「1」であり、「1+0.0025の変化」が起こったとすると、科学的に見れば、それは示量性をもった変化であることはわかるが、感覚的に見れば、増加分0.0025は元々の1に「溶け込んで」しまう(示強性、変わらない)と捉えても、その「感覚」を間違いと指摘することはおかしい。それは、人は、相対的な理由で影響を感じないことなど普通のことであるからである。 貧乏人が一万円を拾うと自分の懐に影響があるが、百億円の大金持ちが一万円を拾っても、貧乏人が百円拾うのと同じ感覚であり、さほど影響を感じないであろうし、それは、元々の基準(「1」や「100億円」)により、増加分の感覚が決まるというだけのことであり、影響がないと感じたとしても、温度が足せないのと同じように、示強性変数である(足す性質の数値ではない)から増加(影響)が起きないと考えるわけではない。故に、「示強性変数と示量性変数の区別がついてない」などという非難の方が的外れである。 (まさか、武田先生ともあろう方が、これらの議論に混乱をきたしているとも思えないのだが?……) ――――IPアドレスでの個人特定――――武田氏は、勝間氏のことを「世間で時どき見かけるバカが、よりによってこんな所に現れた」(格好の標的が現れた)と誤解してしまったオッチョコチョイなのであろう。しかしながら、私は、勝間氏もオッチョコチョイであると思う。 それは、かなり昔のことであるが、あるテレビ番組で、ネットワークでの他人への中傷が話題になっていた時に、出演していた勝間氏に対し、出演者が「勝間さんも、ネットで中傷を受けることがあるのではないですか?そういう時はどうしているのですか?」と質問した。 すると、勝間氏は「中傷する書き込みがあっても、IPアドレスで相手が誰かわかりますから、私はその人に対して、訴えますけどいいですか?どうしますか?と尋ねます」と答えた。 しかし、それは嘘である。聞きかじりで覚えた「IPアドレスで相手がわかる」ということを、さも、ネットに詳しくて専門的に知っているようなポーズをしているだけであろう。 普通の個人のネットユーザについていえば、IPアドレスでは相手はわからない。それは、プロバイダがネット接続者の個人情報を出さないからである。(プロバイダに対して任意開示請求を行い、プロバイダが応じない場合は、発信者情報開示訴訟を行い、勝訴して中傷した人の個人情報を得るという方法はある――即ち「わかる場合がある」ということであるが、ほどんどの場合は難しいのでは?――が、勝間氏の発言は、そのような煩雑な手続きを行うことを想定したものではないだろう) では、なぜ勝間氏がこのようなことを言ったかというと、少し前に、ネットで他人を中傷した有名人がいて、その人の「IPアドレスで、誰かということが判明した」という事件がニュースで流れたので、勝間氏はそれを知っていて、IPアドレスで相手が誰なのかがわかるのだと思ったのだろう。 しかしそれは「IPアドレスでわかる」という意味が違うのである。 この有名人が誰なのかがバレたのは、中傷に使用したIPアドレスそのものではなく、この有名人が自分のIPアドレスを使用してサイトを公開していたので、ネットユーザの誰かが、中傷が行われたIPアドレスと、この有名人のサイトで使われているIPアドレスが同じであることを見つけたのである。 「中傷に使用したIPアドレス」でわかったのではなく、サイトを公開していたので、そこで使っていたIPアドレスとの「一致により」わかったのである。IPアドレスで匿名を使用しても、公開しているサイトで使用してしまえば、同一人物であると推測されてしまうのである。そのことを「IPアドレスでわかる」と言っているのであり、単純に「IPアドレスでわかる」というのとは意味が異なるのであるが、そこら辺のことまでの知識が勝間氏にはなかったので、ニュースで流れた「IPアドレスで個人が特定された」という言葉を、単純にそのまま、そういうものだと思ってしまい、自分の知識として披露したのであろう(まあ、私の推測です)。 武田氏も勝間氏も、「頭の良い人は、せっかちでオッチョコチョイ」という傾向に合致していると言えるだろう。  関連する内容の私のブログ2019/9/4 視てない人から受信料をとるNHKがヤクザならば、視ているのに受信料を払わない視聴者は泥棒か?http://jukusato.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-3e4956.html, 武田邦彦氏は基本的な物理法則すら無視したデタラメなことばっかり言ってますからねえ。, 間違いではありませんが、「1ミリシーベルト」か「1mSv」の方が読みやすかったかもしれません。, メールアドレス:

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